石兵団 大砲も陸揚げ 激戦は目の前に迫る

日本軍は、図のとおり守備していた。石兵団の第六十三旅団独立歩兵第十五大隊第五中隊は約百六十人の編成で、その中に、北海道出身者が、約四十人いた。米軍に身近だったので、生存者は少ない。志田十司夫さん=札幌市北九東十九、国鉄公社二八七=の調査による編成をのせる。

石三五九六部隊(独立歩兵第十五大隊・飯塚豊三郎少佐)=太字は本道出身

▽第一中隊長江戸公平大尉▽第二中隊長伊藤貫一中尉▽第三中隊長松田武夫中尉▽第四中隊長天倉康一郎中尉(紋別郡上興部出身)▽第五中隊長岸本孝中尉▽歩兵中隊長須川隆一中尉▽機関銃中隊長水崎正之助中尉

▽第五中隊編成

▽中隊長岸本中尉▽第一小隊長白石一郎中尉(札幌)第一分隊長伊藤長守軍曹(奔別)▽軽機関銃手=青木節上等兵(江別)宮脇清上等兵(鵡川)菅原博上等兵(札幌・帰還)広田良雄一等兵(札幌)沼田武一等兵(札幌)▽第二分隊長高橋軍曹(市町村別不明。以下、北とだけ記入する)畑中正上等兵(美唄)石垣上等兵(北)米谷孝兵長(北)▽第三分隊長柴谷伍長(北)宮川吉文上等兵(美唄)北川上等兵、斎藤一等兵▽第二小隊長林四郎中尉(札幌)第一分隊長白石軍曹(札幌)北畠上等兵(北)塚本雪雄上等兵(美唄)塚田上等兵(北)佐藤晃兵長(札幌)▽第二分隊長植田軍曹(北)米谷上等兵(北)石川一司上等兵(室蘭)塚谷上等兵▽第三分隊長横山軍曹、柾木国一上等兵(札幌)西尾弘一等兵(札幌)小川一等兵▽第三小隊長奥原准尉、第一分隊長川口伍長(北)▽軽機関銃手広田一等兵(北)横山国夫兵長(北)斎藤上等兵(北)塚田上等兵(北)堀口上等兵、藤田上等兵▽第二分隊長高橋徳蔵伍長(北)吉田音吉上等兵(虻田郡)斎藤上等兵(北)村上一等兵▽第三分隊長中田作太郎(深川)▽軽機関銃手志田十司夫(札幌・帰還)村上上等兵(北)、畑田上等兵、前田上等兵、小田一等兵▽指揮班長金山徳治准尉(余市)松浦弘曹長(幌内村)塚谷政三軍曹(美唄)小林長栄曹長(夕張)畑山栄太郎曹長(北)大槻蔵吉兵長(室蘭)雁瀬兵長(北)土井成雄上等兵(札幌・帰還)▽大隊本部連絡係外崎正男曹長(美唄)あとは不明。

この部隊は、昭和十八年六月二十八日、北支山西省で編成。十九年八月十八日、那覇上陸。十九日、北谷村付近駐とん。二十年二月一日、浦添村仲西国民学校に移動。米軍上陸のとき、部隊本部と第二中隊は沢岻(たくし)、第一中隊は内間付近、第三中隊は宮城部落南側、第四中隊は仲西付近、第五中隊は安謝(あさ)天久(あめく)村付近をそれぞれ警備していた。

安謝、天久は、那覇の北方約一㌔。三月二十三日以降の米軍の空襲、艦砲射撃の真ただなかにあった。志田上等兵は、三月二十三日、甲号戦備の指令で、二千八百発の弾薬を山上にかつぎあげ、軽機で米軍機に応戦したが、米軍機の増加と機銃掃射のすさまじさに、どうくつにのがれた。その後は、対空対海監視が主任務となった、二十四日は米艦隊が接近した。一隻の戦艦を中心に、まわりを五、六隻の巡洋艦がとりかこみ、その外側を駆逐艦八、九隻、さらに、そのまわりを掃海艇がとりかこんでいる。これが一船団で全部で五船団いる。戦艦が、ゆっくり動き出すと巡洋艦は静かに右回し、駆逐艦は逆に左へまわる。これにつれて、掃海艇が左へまわりながら、海面に日本軍が仕掛けた機雷を爆破する。

五船団は、沖縄島にそってゆっくり北上しながら艦砲射撃を首里に浴びせ、さらに天久を越えて、嘉数、仲間方面を砲撃。戦艦の主砲の砲弾が頭上を越す時の音は、口ではいいあらわせない無気味な音を発し、それが弾着すると、どうくつ内にいてもショックで倒れそうになる。

四月一日は、午前八時ごろ、米軍上陸の情報がはいり、海上では、船団が島にそって南下しながら砲撃している。敵が上陸した実感はない。大隊本部情報で、神山島(米軍は三十一日に上陸)周辺に船団集結。―神山島まで約十㌔。眼鏡のなかに、大砲を陸揚げしているのが見えた。

この大砲(長射程砲二十四門)が、二日から、首里、我如古(がねこ)に砲撃を開始した。我如古をねらう砲弾が、頭上を通る。その無気味な音が遠くへ消えると、にぶく太鼓をたたくような音が聞こえてくる。

我如古の友軍陣地は、たえまない巨弾を浴び、どんなに苦戦していることだろう―激戦は目前に迫っている。人ごととは思えなかった。

資料の提供をお願いします。

「七師団戦記あゝ沖縄」を完ぺきなものとするため、沖縄戦の記録をお持ちの方、または体験された方、関係者をご存じの方は札幌市大通西四北海タイムス社戦記係(③0131)までご一報ください。

また沖縄戦没者アルバムを作成しますから顔写真をお持ちの方は部隊名(連・中隊)階級、氏名、遺族の住所氏名を明記してお送りください。

 

沖縄戦・きょうの暦

4月9日

米軍占領の神山島に、日本軍が奇襲攻撃をかける。米軍は首里陣地に攻撃をかけたが、死傷者続出して中止。

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